自傷する子で注意したいこと(援助希求能力の話)
自傷する子に対する誤解
かまってもらいたくてやってるんでしょ?
付き合うだけ時間の無駄だと思う。
付き合うだけ時間の無駄だと思う。
こんな勘違いが、まかり通っている気がします。
この勘違いは、自傷している子をさらに傷つけ、そして大人かたら遠ざけます。
今回のこの話は、身近で「いじめ被害」に遭っている子と話す機会があったので、書くことを決めました。
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そして、私が今日書く記事の基礎にはこの2冊の本があることを、ご了承ください。
自傷をしている子で、気にして欲しい4項目
自傷をしている子は、全員が「死にたい」と思っているわけではありません。
ただ、「自傷をしている子」は「自殺してしまう子」のリスクではあります。
ここがチェックポイント!
- 自傷をしている傷を、隠せていますか?
→自傷をする子は、最初は、「黙って」「見えないところを」傷つけます。その傷が、「見えるところに出てきてしまっている場合」は、自傷のコントロールができなくなっていることを考えないといけません。 - その子は、自傷した傷の手当てをしていますか?
→傷の手当てをしないということは「2度目の自傷行為」にあたります。自分の傷を治療しないことで、さらに自分を傷つけているのです。 - その子は、「自傷したとき」のことを、覚えていますか?
→最初は苦しみを忘れるために始めた自傷ですが、あまりに苦しいことが多いと、「苦しいことを体験した自分」を自分の意識から切り離していきます。これは、「解離」といって、自傷が悪化している兆候です。 - その子は「どういう気持ちで」自傷をしていますか。「生きるため」ですか「死にたいから」ですか。
→「死にたくて」自傷を始めることは、実は比較的少ないと言われています。しかし、苦しい気持ちがどんどん大きくなったり、大きい傷でないと納得できなくなったりすると、「うっかり自殺企図」になってしまい、最悪死んでしまうこともあります。
自傷行為はアピールではありません。
アピールに見えるようになってしまっている状態は、もうだいぶ自傷行為が進行して、本人も「自傷行為のコントロールができなくなっている」状態です。
ですので、「アピール行為」というのは大いなる間違いです。
自傷行為は、「発端の行動」です。
その後の進展
- 自傷行為に適切な対処をしてもらえないと、それはいずれ「自殺企図」へと変わります
- 自傷行為をする子は「摂食障害」の傾向が少なからずあり、体重を厳密にコントロールしようとして食べたり、吐いたり、薬を濫用したりするようになります
- 「違法薬物」に対しても、自傷行為を続け誰も信じられなくなっている子は、「誰にも迷惑かけないんだから勝手にすればいいと思う」という考え方に至るようです
- 最初は「信頼できる」と思った大人に打ち明けますが、裏切られることが重なると、「誰にも」「助けてほしい」と言わなくなります。
「援助希求能力」を壊さないようにしよう
当初、自傷をしている子たちは本人なりに「誰かに助けてほしい」と考えています。
そして、「信頼できると信じている大人」に相談を持ちかけてみたりします。
この、望ましくない行動を繰り返すと、「大人なんてみんな信じられないものだ」と考えてしまい、「援助希求能力」を失ってしまいます。せっかく最初は持っていたのに、です。
「援助希求能力」とは
その名の通り、「援助」を「求めてやまない気持ちがあり」「それを求められる能力」です。
この「援助希求能力」がないと、助けられるべき子も、助けられなくなってしまいます。
3人くらい頼ってみれば、1人くらい頼れる大人がいる
今から助けを求めようとする自傷する子たちには、これをわかっていてほしいのです。
3人ぐらい話してみたら、1人くらいは「頼れるかも」という大人に出会えると思います。もう3人あたったけど全部ダメだった場合は、10人いたら3人くらいいるよ、という意味なので、次は3/7で少し確率が上がっているはずです。諦めずに大人と話をしてみましょう。
まとめ
本日の参考文献はこちらになります。非常に読みやすく、おすすめの本です。
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