発達障害を持つ女医がこころの病気と健康について語る。
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うつ病っぽくないうつ病について

 

うつ病のイメージ

     
     
うつ病というと、
寝られなくなったり
食べられなくなったりする
イメージが強いですが
実はそうでないうつ病もあります。
それが「非定型うつ病」です。

     
     

非定型うつ病とは?

     
     
特徴は、主に以下の2つです。
    
    

1、(寝ても寝ても眠たくなる)過眠
2、(食べても食べてもお腹が空く)過食

      
      
要するに、一般にもたれている
うつ病のイメージとは全く逆なのですね。

           
     

寝過ぎてしまったり、
食べ過ぎてしまったりする。
私が実際に見た人では、
最長16時間寝続けていて起きない人がいました。
そんなに寝続けていたら、
起きてからも何もできませんよね。

      
      

非定型うつ病のその他の特徴

      
       

この非定型うつ病の人たちの中には、
元々「自分が楽しいと感じること」なら、
うつの期間でもその事を楽しめる人がいます。
そのせいで「楽しいことならできるのであればそんなのはうつ病ではない」
と周りからその人を批判する人がいます。

      
      

でもそんな声には耳を傾けないでください。
誰がなんと言おうとその人はしっかりうつ病です。

       
       

非定型うつ病になりやすい人

       
       
基本的には非定型うつ病の人は
40代までの若い人です。
私の知っている最年少は10歳の少女です。
若い人で、他人の目を過度に気にしている、
また、不安や不満を言葉にできずに溜め込みがちの、
一言でいうと「いわゆるいい人」が
なりやすいと言われています。

若い人のうつ病はとかく
「新型うつ病」などといって
揶揄されることが多いですが、
非定型うつ病という病気を知っていれば、
「新型うつ病」とか「サボり」などという批判は
全く的外れであることがわかります。

     
      

非定型うつ病の治療

      
     

基本的に薬物療法になります。
若い人にはセロトニン再取り込み阻害薬といった
新しい薬が少し使いにくいことがあるので、
三環系抗うつ剤という古いタイプの抗うつ剤が
使われることが多いです。

      
       
その理由としては、
パキシルというセロトニン再取り込み阻害薬を使った
10代の子どもたちの自殺率が上がった、
というセンセーショナルな報告が
アメリカで出てきたために、
その仲間の薬は10代の人に対しては
基本的に慎重投与となったからです。
20代や30代の人には使われることもあります

      
       

これらの薬の効果が出てくると、
寝る時間が短くなり、
過食がなくなり食欲が普通に戻ってきます。
普通の鬱病に対しては
「寝られるようになり」
「食欲がアップする」ために使われる薬で、
「寝る時間が短くなって」
「食欲が下がる」のです。

この辺の事情はまだわかっていない不思議なところです。

いずれにせよ、
「過眠」「過食」が見られて
生活に支障が出ている人は、
一度そのことを精神科に相談に行ってもいいと思います。
治療して楽になりましょう。