主治医を好きになったり(陽性転移)嫌いになったりしたら(陰性転移)
治療の中で主治医に個人的な感情を抱くことがあります
精神科の通院の中で、主治医に個人的な感情を抱くことがままあります。
それは専門的にいうと「転移(てんい)」と呼ぶのですが、これは治療において非常に重要な局面と言えます。
「転移」は、おさないころに養育者(主に両親)に対して「抑圧」した感情が治療者に向いたものだと考えられるからです。
ですので、「転移」が出てきた段階で、それを治療で扱うと、少し治療が前に進む可能性があります。ぜひ、取り上げてみてもらってください。
主治医に恋してしまったら
主治医を信頼・尊敬・感謝したり、そういうことは、まああることだと思います。
そこをさらに一歩飛び越えて、「主治医に恋愛感情を抱いてしまったら」というのが、今回のテーマです。
①主治医も個人的にあなたに恋した場合
こんな本も発売されている通り、「人間 対 人間」ですので、
「お互い惹かれ合う」ということは、ありえないことではありません。
ただしこの場合、「恋人同士としてお付き合い」が始まった場合、
「彼氏になった主治医は、これからは主治医ではいられません。」
これは、精神科に特徴的な話なのですが、「個人的な感情が入ると、医師-患者関係が崩れる」のです。
ですので、整形外科で骨を折って入院した人が看護師さんと結婚した、とか、
そういった話とは精神科は少し違うことになります。
そうでないと、いつか「精神科医である彼氏」との関係が、おかしくなって崩れます。
大事なのは、精神科への通院はやめないこと
そして、「精神科医とおつきあいしているから大丈夫」ではなく、
「精神科に通院すること」は絶対にやめないでください。
新しい主治医と信頼関係を築くのは大変かもしれませんが、絶対に通院をあきらめないでください。あなたの治療はしっかり続けましょう。
②主治医はあなたのことを「患者」と思っている場合
主治医の先生が、あなたのことは「ひとりの自分の患者」としてしかみてくれない場合。
あなたは、きっとそのことを悲しく思うでしょう。逆に、主治医を嫌いになってしまうかもしれない。でも、忘れないでいて欲しいことがあります。
好きになってもらえないということは、一見腹が立つことかもしれませんが、主治医の先生はここまで考えてそのチョイスをしていると思います。
だから、あなたのことをしっかり考えていますよ。
主治医のことがどうしようもなく嫌いになったら
主治医に対して「ネガティブな感情」がどうしようもなく湧いてくることもあります。
- 不信感(主治医がいうことがどうしても納得できず信じられない)
- 攻撃性(主治医のいうことに対して反抗心が出て、それを言葉にしたりしなかったりする)
- 敵意(この主治医は自分に嫌がらせをしようとしている敵なのではないか)
こんな感情が、主治医に対して抱いてしまうネガティブな感情です。
これも、子どものころに両親や周りの人との関係から、その相手に対して抱いていたネガティブな感情が、主治医に向いている状態です。
そこには何らかのあなたの「過去」が隠されているかも
「そのものを扱う」ことは「辛く苦しいこと」かもしれませんが、あなたがそれを「乗り越えられる時期」だから、動いてきた可能性があります。
ですから、もし主治医の先生が「転移と思われる感情」を扱ってきた場合は、あなたの病状が劇的に変化する可能性があります。
主治医はできるだけ変えない方がいい
どうしても「ネガティブな感情」を抱くと、「主治医を変えて欲しい」という感情が出てくるのは当たり前です。
「転移」が出てきたということは、それだけ治療が進展してきたということですから、
新しい主治医と「1から関係を作って行っていたら」せっかくの機会を逃してしまいます。