精神科の薬は太る?薬と食欲の関係。
「精神科の薬は太るから飲みたくありません」
私、太るような薬は飲みたくないんです。
いくら病気があったとしても「太りやすい薬」と「太りにくい薬」があったら、後者を選びたいのが人間というもの。
では、精神科の薬ではどうなのでしょうか。
実際に、「高血糖」を起こし、「糖尿病患者に使えない薬」があります
実際に「オランザピン(ジプレキサ)」「クエチアピン(セロクエル)」は糖尿病患者には禁忌です。添付文書で禁止されています。
では、この2つの薬だけ、高血糖になるから「太る」と気にしておけばいいかと言われると、そうではありません。
この図は、出典は「医薬品による重篤副作用への対処法と救済制度 薬剤性高血糖」という論文になります。
精神科の薬だけではなくいろいろな薬について取り上げられており、その中の一部に精神科の薬についての言及があります。
上記の表が一番わかりやすいのではないかと思います。
また、この論文によると、
精神科の薬のいくつかは、「食欲を上げる」作用があります
薬が直接糖尿病にしているのではなく、「体重増加」をすることで、二次的に糖尿病になっている、と先ほど書いてありましたね。
となると問題は「体重が増えること」に絞られそうです。
もう一度先ほどの表を見ると、一般的によく使われる全ての薬で、体重増加は見られており、そのなかでもオランザピンとクエチアピン、そしてリスペリドンの体重増加が大きい、とわかります。
筆者もリスペリドンでの高血糖を経験しており、糖尿病患者に使うことはできますが、リスペリドンも高血糖に注意をしないといけない薬だとわかりますね。
一般的には太りにくい薬で太る人もいます
体重増加のところで「+」がひとつしかないアリピプラゾール。
これは「太りにくい薬」なのではないか、と考えてしまう人もいるかもしれません。
でも、私は体重が40キロ台だった女性が、アリピプラゾールの投与で50kg体重が増加したのを見たことがあります。
「太る」のか「太らない」のかは個人差が大きいです
ここは非常に個人差の大きいところです。
ですから、「飲んでみないと自分が太るのかどうかはわからない」ということが言えます。
「対策」はないのか
この意見、もっともです。ただ手をこまねいて太るか太らないかの賭けに出るくらいなら、なにか対策をしておきたい。
「食欲が上がって」も「食べなければ」太らない
結局、この「抗精神病薬」による体重増加は、「食欲増進」と関係があります。
彼らは今までと同じ食生活で太っているのではなく、「食べる量が増えて太って」います。
「食欲に負けないで」いられれば、太らないでいることは可能です。
(少し糖代謝を触る印象があり、全く同じだと太るケースは散見されます。
その場合は自分の「今」の食生活の適量を考えて実行してみてください)
ジムに行って運動する患者さんもいる
やっぱり、食欲増えてるの薬のせいですよね・・・。
私、家にいると食べてしまうので、ジムに通うことにしました。
今まで、そんな患者さんに出会ったこともあります。
女性にとって「外見」というのは非常に重要な要素なので、「太らないでいたい」という強い気持ちで試行錯誤すれば、太らないこともあります。
ただ、個人差が大きいと書いた通り、「全く太らない人」も存在します。
そこは「個人差」と諦めて、あまり妬みや嫉みにしないようにしましょう。
一方で、薬でなってしまった「糖尿病」は治らない
これは非常に悲しいお知らせなのですが、
もちろん治療が必要ないレベルを保てることはありますが、オランザピンやクエチアピンを使った治療は今後できないと思っておいてください。
番外編:痩せる薬?
食欲が上がる薬がいっぱいあるのはわかったけど、食欲がなくなる薬ってないの?
はい。こう考える方たちがいることは、当たり前だと思います。
食欲を落とす薬が存在します
実は、食欲を落とす薬が存在します。
実際に、オランザピンで太ってきていた統合失調症の患者さんに投与して、体重が減少した、という話も小耳には挟んでいます。
ただし肥満に適応はないので現段階では諦めましょう
ですので、「ダイエット」とか、「統合失調症」「躁うつ病」などには厳密には現在、適応がありません。
ですので、「飲んでみたい」といっても「ダメです」と言われる可能性が高いです。
今後、食欲を抑える薬が開発される日が、来るといいですね。
まとめ
本日はここまでになります。
後期研修医レベルの人であれば、以下の3冊は精神科・薬の知識として持っていて欲しいですね。
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