精神科単科病院の新型コロナウイルス(COVID-19)対策
総合病院と精神科単科病院の違い
現在、総合病院は「感染症指定医療機関である」か「そうでない」かに分かれる。
感染症指定医療機関は、重症化した患者さんも含めてどしどしコロナウイルス患者を受け入れている。
逆に、「そうでない」病院は、初期対応で「コロナだ」とわかると感染症指定医療機関へ患者を送る(今は全員が入院するフェーズでないので少し変わったかもしれないが)。
では、「精神科しかない」精神科の単科病院はどんな対策を行っているのか?
興味がある人もいるであろうと信じて書いてみる。
もう少し詳しく精神科単科病院を知る
精神科単科病院の患者層について
精神科の単科病院に入院している人の主な疾患はおおむね以下のとおりである。
- 統合失調症
- 躁うつ病
- うつ病
- 発達障害
- 人格障害
- 認知症
このあたりは想定内ではないかと思うのだけれど、問題は。
ことである。統合失調症の患者さんにしても、若い人よりは年寄りの方が多い。
認知症になるのは言わずもがな高齢者が中心である。
まずは「患者さんを守る」こと
精神科の単科病院に入院している人たちは、50年選手から1ヶ月選手まで幅広い。
でもこの患者さんたちは、「意外と外出していない」ため、
患者さんがCOVID-19に外でかかってきて病院に持ち込むことは考えにくい。
そうなると持ち込むのは誰か。
職員。
である。もう他にはいない。職員が持ち込む。これは大前提。
一方で、感染症対策の資源は後回し
もちろん、最前線でコロナウイルスの患者さんたちの治療にあたっている人が医療資源が最優先である。
精神科病院は「はっきり言って後回し」である。
しかしこの優先順位に全く異論はない。
マスクは3日に1回しか使えないし、そのマスクも使うばかりで入ってこない。
精神科医は感染症において「直接たる治療者」であることは不可能なので、
とにかく「自衛」するしかないのである。
その上で当院が行なっていること
- 面会禁止
→面会が自由にできないことでストレスがたまる人もいるが、仕方ない - 病院の入り口で体温測定
→サーモスタットみたいなものはないので、入り口で看護師が構えて体温測定し、熱のある人はその場で回れ右してお帰りいただいている - コロナウイルスの患者が出たら、病棟内で対応
→個室の有無とかどうでもいいので、病棟の間でコロナをやりとりしないようにする - 職員(特に医局)は不要不急の外出を控える
→どこでもらってもおかしくないため、自宅と病院の往復のみに控える - 病棟内は1時間に1度は消毒を行う
→こまめな消毒で患者さんたちが感染症にさらされにくいようにする - 外来は基本的に「電話で再診」を行う
→会わないのが大事。病院の収入は激減しますがそんなこと言ってられない
どうでしょうか。
「精神科しかない病院なのに、めっちゃやってる!」
ってならないですかね。
私たちですらこれだけの危機感を持って動いているので、
「発熱患者」を診察しないといけない精神科ではない先生方はもっと緊張感があるかと思っています。
緊張の糸もいつか切れるため、早期の解決を望んでいます。
一方で、認知症患者さんの病棟に持ち込まれると、またたく間に亡くなる可能性があります。
「精神科病院で死ぬ」ということも、身近に考えてももらいたいなと思っています。