発達障害を持つ女医がこころの病気と健康について語る。
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発達障害の女子はこうして見逃される

 

発達障害系は男子に多いとされている

 有病率(DSM、ICDなどより) 
  • 小児自閉症は男子の方が女子よりも4倍多いと言われています
  • アスペルガー症候群は8倍の確率で男子に多い
  • 注意欠如多動性障害(ADHD)は4~6:1で男児に多い
    (出典:自治医科大学小児科教授

本当に、有病率は男子が多いのか?

でも本当に、男子に多い病気なのでしょうか?

「女子の」とタイトルされた発達障害とADHDの本

6冊の本をあげさせていただきました。なぜ、こんなにたくさんの本が出版されているんでしょう?
確かに発達障害は過渡期で、いろいろな人(専門家・当事者)がいろいろなタイプの本を書いていて、どれを読むか迷ってしまいますよね。
ここにあげた6冊は、私が読んだことのあるどれもおすすめの本で、読み応えにはさまざまありますが、どれか1冊、と思われるならこの中からお選びいただきたいなと思います。

本当は、言われているよりももっといるのでは?

「発達障害」と銘打った本は多いのですが、
「男子の発達障害」というタイトルの本は存在しません。
その理由は、「男子の発達障害は「多い」と言われている通り、
子どものうちにキャッチアップされてフォローされていくけれど、
女子はフォローされずに成長してしまうことが多いから」です。

「発達障害女子」について研究が進んでいる

「より良いケアのために、若い自閉症スペクトラムの女性を特定してください」
「自閉症の女の子と女性(なかなか診断がつかないことでの悪影響を論じた論文です」
また、Twitterでは専門家がこの件について論じたツイートも見られます。


(神経科学の専門家の先生です。また、このツイートから自閉症スペクトラム障害の診断が女子で遅れてしまうのは、日本だけの問題でないことがわかります)
私が診断をされたのも社会人になってからでした。発達障害の診断があればサポートが受けられたこと、ひょっとしたらあったかもしれません。

ではどうして見逃されるのか?女子の世界の闇

 見逃されてしまう理由 

これは気づいてしまえば非常に簡単な問題なんです。
それは、コミュニケーション能力が高いから、です。

前述の先生も同様のツイートをされています。

女子社会での生活は究極のトレーニング

女の子が女子社会で生きていくことって、トレーニングなんですよ。
発達障害らしいことを隠すためのトレーニングになってしまいます。
以下で説明させていただきたいと思います。

  • 女性の社会は「ことばによるコミュニケーション」が中心である
    →保育園児・幼稚園児の女の子の口喧嘩でも、大人がびっくりする言葉を使ったりしますよね。
  • 「ヒエラルキーに腕力や運動能力が関係しない」
    →スクールカーストなどもありますが、男子と違って「足が早ければえらい」とかはありません。勉強ができる必要もありません。口が立つ人が、頂点に立ちます。
  • そのため、どうしても「口喧嘩」「言葉での主張」のトレーニングを積んでいくのです。

その結果、「自閉症スペクトラム障害の女子は診断が遅れやすく、人生において不利益が多い」という話になるわけですね。

今後が期待される「発達障害女子」の早期発見

それでもやっぱり、早期介入が必要なのが発達障害です。
今後、研究が進んでいき、本当の有病率の差が世間に広まることを願います。
だってそれはひょっとしたら、1:1なのかもしれないのですから。

まとめ

まとめ
  • 発達障害の「女子」は診断までに時間がかかることが多い
  • その理由としては女子特有のコミュニケーション能力の高さが症状をマスクするからである
  • しかし、やはり早期介入することがその後の人生で不利益を得ない。

こういうことでした。最後まで読んでいただいてありがとうございました!