家族を施設に入れることについて、複雑な気持ちの話。
大切な家族でも、一緒に暮らせないことがある
こういった話をするときに、やはり「津久井やまゆり園」の事件から話を始めないといけないでしょうか。
施設で暮らしていたとしても、家族には家族としての愛があり、思いがある。
そんなことに、思いを馳せていただけないでしょうか。
「19のいのち」という、NHKの特集のリンクを貼っておきます。
これをみたら、彼らには彼らの人生があり、家族があり、愛され、愛していたことが、伝わるのではないかと思います。
どんな病気で、家族と一緒に暮らせない場合があるか
ではたとえば、どんな病気で家族と一緒に暮らせない場合があるのでしょうか。
「隠したくて」私宅監置する時代は終わっている
自分の家族に「障がい者」がいるのは恥だ、といって隠していた時代もありました。
そして、それを認めていた時代もありました。
でも、リンク先の記事にも書いてある通り、今、この現代において「私宅監置」は「監禁罪」となり違法です。
ですから、親が高齢になっていくに従い、
また子どもが成長して(物理的な)力をつけていくに従い、
家の中のパワーバランスが崩れ、「施設を選択する」というご家庭があることは他人がどうこういう問題ではありません。
また、認知症の家族が目の前で「今までの親だった人」から変わっていってしまうのを、受け入れられないことだってあるだろうし、問題行動が多くて面倒を見切れないということもあります。
ただそれでも「家で一緒に暮らしている」家族も存在する
では、そういって苦しんだ家族は「全員が施設に頼る」のでしょうか?
答えは「否」です。
義母の徘徊を全部少し離れてついて歩きながら、月に1泊のショートステイで乗り切っているご家庭もありました。
認知症の症状のせいで隣家の柿を盗んでしまっても、「退院後は家に連れて帰りたい」とおっしゃる家族もおられました。
施設に入れるのは「悪いこと」?
では、施設に入れるのは「悪い」ことなのでしょうか?
そういう人の声が、聞こえてくるかのようです。
この、「根強い日本の考え方」が、親や子どもを施設に入れることに、「罪悪感」を持たせてしまうのです。
でも、先ほども述べたとおり、「どこまで頑張れるか」は人それぞれなのだから、「施設という選択をした人」を悪く言っていい人なんて、存在しません。
もし、あなたの周りにそういった考え方を押し付けてくる人がいたら、たとえ身内でも縁を切ることをおすすめします。
「生活をする」ためには、家族の生活も大事。
でも、どんな家庭でも「生活をするために必要なもの」があります。
「お金」
です。
お金がないと、ご飯が食べられません。住居の確保ができません。衣類だって買えません。
でも、24時間つきっきりにならないといけない人がいたら、「お金を稼ぐ」ことはできるでしょうか?
「無理」
ですよね?24時間介護をするために、働ける人が生活保護を受けるなんて、本末転倒だし、介護者の「年金」だけで家族全員が生活できるほど世の中は甘くありません。
一番いけないのは「共倒れ」になること
老老介護で、介護している人が、介護されている人を殺す痛ましい事件が、あとをたちません。
「2週間に1度、介護殺人が起きている」
という記事を見つけました。NHKスペシャルをまとめた本をベースに書かれていて内容も深いので読んでみてください。
一番怖いことは、「共倒れ」になることです。
介護殺人に至ったケースは、「共倒れ」したケースです。
いずれ親は先に死ぬ。そのあとどうする?
一方で、「子どもを施設に入れる」ケース。
この場合も親に対して罵詈雑言を浴びせてくる人がいますよね。
これに関しても「他人が口を出すべきことではない」です。
涙を流し、自分を責め、たくさんの葛藤の中で撮った選択だった可能性の方が高いです。
親が死んだあとのことを考えて「施設に入れる」選択をとることもあります。
「兄弟がいるんだったらそっちが面倒を見ればいい」と簡単にいう人もいますが、
その兄弟の人生を、なぜあなたが決めてしまうのでしょうか?
障がいを持つ人間が家族にいたら、一生その家族に奉仕するしか生きる道はないのでしょうか?
兄弟には兄弟の、人生があります。
いろいろな選択肢がある中で施設を選ぶのは悪くない
今は、いろいろな選択肢があります。
施設でも、長期で入所するところ、グループホームのように少人数で暮らすところ、病院に長期入院する人もいるでしょう。
「私宅監置」しかなかった時代と比べたら、今はとても選択肢が増えてきています。
そしてこれからも、選択肢はもっともっとふえていくでしょう。
罪悪感はいらない。人の罪悪感を煽ってもいけない。
親や子どもを施設に入れることを決めたご家族様へ。
離れて暮らしていても「家族」は「家族」です。
今後、どういう家族の形を目指すのか、色々な人と話して決めましょう。
罪悪感を煽る人へ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。以下の本は、介護をしてきた方が書かれた本です。
ぜひ、一度読んでみていただけたらと思います。