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家族が認知症になったときに考えてほしいこと

 

あなたの大切な家族が認知症になったら

日本の高齢化率を、知っていますか?
2019年の厚生労働省の高齢化率の統計グラフをお示しします。

このままでいくと、日本は今よりさらにどんどん高齢化していきますよね。

そんな中で、認知症になる人も増えています。

認知症ってなんだろう?

認知症って、なんだか知っていますか?

認知症の定義は以下のように定められています。

通常、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、学習、言語、判断等多数の高次脳機能障害からなる疾患群(ICD-10)

でもちょっと、何のことだかわかりにくいですよね。
もう少しわかりやすく、健康長寿ネットが書いてくれている定義を出してみます。

認知症とは、脳の変性疾患や脳血管障害によって、記憶や思考などの認知機能の低下が起こり、6カ月以上にわたって、日常生活に支障をきたしている状態です

要するに、「脳になんらかの異常」があって「いろいろ問題」が起きて「日常生活に支障」が出ている状態です。

認知症には種類があります

四大認知症と言われているのは、以下の認知症です。

4大認知症とは
  1. アルツハイマー型認知症
  2. 血管性認知症
  3. レビー小体型認知症
  4. 前頭側頭型認知症

どうでしょうか。名前を聞いたことがあるものはありましたか?
少し解説を加えてみましょう。

それぞれの認知症を少し解説
  1. アルツハイマー型認知症
    →だいたい認知症の半分がこの認知症です。物忘れから始まり、徐々に進行します。
    65歳までに発症する「早発型」とそれ以降に発症する「晩発型」があり、若く発症するほど早く進行します。
  2. 血管性認知症
    →血管が詰まったり、破れたりして症状が出ます。
    血管に異常が起きた瞬間に「ガクッ」と悪くなり、階段を降りるように進行します。
  3. レビー小体型認知症
    →ないはずのものが見えたり(幻視)、手が震えたり(パーキンソニズム)します。
    物忘れよりも「幻覚」が最初に出てくることもあります。
  4. 前頭側頭型認知症
    →物忘れよりも、性格が変わって乱暴になったり、物を盗んでしまったりします。
    歩き回るけれども、「徘徊する」というよりも「巡回してる」のほうがしっくりきます。

簡単に特徴を並べてみました。
もちろん、これ以外にも認知症になる病気はたくさんありますが、
まず知っていてほしいのはこの4つの認知症です。

認知症になっても守られるべきもの

認知症になっても、守ってほしいことがあります。

尊厳

目の前の認知症の人は、今どうあれ「あなたの家族」に変わりありません。
「親」でも「祖父母」でも、「伯父」でも「叔母」でも「兄」でも、どれでも。

守られるべきは「人としての尊厳」なのです。

目の前にいるその人が、子どものように見えても。
「子どもに対するような態度」をとらないでください。

きちんと、わかっています。

傷つきます。

傷つけたいですか?

遠くにいる家族が認知症になったら?

遠方にいる家族が認知症になることもありますよね。
そんな時は、まず認知症の勉強をしましょう。

おすすめなのは、以下の本です。マンガ主体でわかりやすいです。



近くにいる家族を差し置いてでしゃばらない

離れているというのは不安を煽るものです。
近くにいる家族が「困っていること」ばかりを伝えてきて、よけいに怖くなるかもしれません。

でも大事なことは。

あなたの意見を押し付けない

です。

あなたの考えているのはただの理想です。
現実で目の前にいる相手を見ている人に、あなたの意見を押し付けないでください。

近くで面倒を見ている人の意見を最優先

書くまでもなく当たり前のことなのですが、一番苦労しているのは、

目の前で面倒を見ている人

です。ある日突然、

「施設に入れたい」
「もう面倒みられない」
「このままじゃ共倒れになって死ぬ」

と言われることもあるでしょう。
その時にあなたができることは。

できる範囲でお金を出すこと

ぐらいでしょう。お金も手も出さないのに理想ばかり押し付けたら。
目の前で面倒を見ている人に、あなたが嫌われて終わります。

認知症の家族を見る上で一番大事にしてほしいこと

精神科医療に携わってきて、私が一番最初に家族さんたちにお伝えすることは。

本人を嫌いになる前に助けを求めてください

どんなに大好きだった家族でも、迷惑ばかりかけられたら嫌いになります。

覚えておいてほしいこと

認知症から出てくる困りごと(周辺症状といいます)」は、治療ができます
入院するとなったら精神科を紹介されることが多いと思います
家族を「精神病院」に入院させることに抵抗があっても、嫌いにならないうちに一度距離を置きましょう

死ぬまで縁が切れないのが家族です。

だからこそ、「嫌いにならないうちに」助けを求めてください

助けを求めたあなたを叱責する人がいたら、逃げてください

以下の本、ぜひ読んでみてくださいね。



March 17, 2020 - posted by みずき@精神科医

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