精神(メンタル)疾患のカミングアウトについて
精神(メンタル)疾患のカミングアウト5パターン
精神(メンタル)疾患をお持ちの方は、誰に話していいか、悩まれると思います。
「高血圧」や「糖尿病」などと違い、繊細に「カミングアウト」をとらえるかなと思います。それは、当たり前のことです。
今回は、それを、以下の5つのパターンにわけて、考えていきたいと思います。
- 同居している「家族」
- 同居していない「家族」
- 恋人or非常に親しい友人
- 友人
- 職場の人
①同居している「家族」へのカミングアウト
まずは、同居している「家族」について考えてみましょう。
同居家族は複数人いることもあるかと思いますが、ひとりずつ考えてみましょう。
- あなたは、その相手に対してどれだけ生活の部分で「依存」していますか?
- あなたの今のその「病気の状態」に、その相手はどの程度関与していますか?(良い部分も悪い部分もどちらも考えてみてください)
- あなたは、その相手を「どの程度信頼」して来ましたか?
考えていきたいのは、この3つだと思っています。
やはり、生活の依存度が高すぎる場合は、「治療費」や「入院の可能性」まで考えると、話しておかざるを得ないと思います。
ただ、もしその相手が病気に対して理解を示さなかったとすると、主治医の先生から「疾患の説明をしてもらって理解してもらう」必要があります。
ただし、いわゆる「毒親」と言われる「同居家族のせいでこうなった」相手である場合は、カミングアウトは時期を見はからう必要がありますので、主治医に時期についても相談していきましょう。
あとは、個人的な信頼です。
その相手を今までの人生でどのくらい信用してきたか、信頼できると思えるのであれば話してみても良いし、信頼できないと見限っているのであれば話さなくても良いのではないかと考えています。
「毒親」に対して「経済的に依存」してしまっている場合。
これはおそらく治療にも時間がかかりますし、最終的には「逃げる」という選択肢を選ぶ人生もあるかと思います。
その場合の決断は、「調子が悪い時は決断しない」ことです。
主治医の先生にもよく相談してから決めていきましょう。あなたは一人ではありません。
②同居していない「家族」へのカミングアウト
これは、「とりあえず血が繋がっている人」というとらえ方で構いません。
この場合は、2つのパターンが考えられます。
- 同居している家族がいない場合
- 同居している家族は別にいる場合
これで変わってきます。また、複数いる場合は一人ずつ考えましょう。
同居している家族がいない場合は、「一番親しいと考えている」その人に対して、①の同居している「家族」へのカミングアウトのチェックリストと同じことをチェックしましょう。
同居していない「家族」(一番親しいわけではない人たち)については、以下をチェック。
- その相手と「直接会う」頻度はどの程度あるか(年に数回or毎週?など)
- その相手のことを「どの程度信頼」しているか
- その相手の住んでいるところとの物理的距離がどのくらいあるか
このあたりが検討事項となります。例えば「毒親に対して共闘を組む」相手であれば、カミングアウトはしやすくなります。
ただ、このレベルの「血の繋がり」や「関わり」であれば、いざという時まで言わないのもひとつの手だと思っています。
恋人or非常に親しい友人へのカミングアウト
ここで、一番大事なことは「あなたはその相手に1番の理解者になってほしいと思っている」ということを理解することです。
恋人なら、今後の結婚をみすえた場合には絶対に言っておかないと、と思うでしょうし、非常に親しい友人であれば、遊びに行った先で調子が悪くなった時に頼りたい、と思うでしょう。
精神(メンタル)疾患は、理解しにくい病気の代表格でもあります。
「この人にだけはわかってほしい」というのは相手に対して「過剰な負担」となってのしかかる可能性があります。
また、聞いただけではわからず、時間と共に「経過を見る」ことで、理解してくれることもあります。
逆に、このためにその人との関係が終わることも頭の片隅には置いておかないといけません。
ただし、精神(メンタル)疾患を本当に理解してくれる場合は、絆が深まることもあります。
どちらに転ぶかは、わかりません。「慌てず、騒がず」いきましょう。
友人に対してのカミングアウト
「非常に親しい」とカテゴリにいるわけではない「友人」に対してのことです。
この中には親しさのランクも含めていろいろな立ち位置の人がいることでしょう。
ですが、一言でまとめてしまいます。
注意!!
このカテゴリーの中の人に話す場合は、「相手から先に精神(メンタル)疾患をカミングアウトしてきた」場合です。
この場合に限っては、「さらに親しくなる」「理解者に変わる」可能性があるため、カミングアウトする価値が生まれます。
「職場」の人へのカミングアウト
この場合は、まず3種類に分けられます。
- 障害者雇用で働く場合
- 休職を必要とする場合
- 休職を必要としない場合
障害者雇用に関しては、「すでに勤務の開始段階でカミングアウトが済んでいる」場合になりますので、そこから先、どこまで自分の病気の話が広がっているかは企業次第になります。
次に、「休職を必要とする場合」ですが、休職するためにはあなたの主治医からの診断書が必要になりますので、「直属の上司」や「人事の人」や「産業医」にはカミングアウトせざるを得ません。ただし、他の精神(メンタル)疾患の人についても扱った経験があるでしょうから、「表面上」だとしても理解を示してくれます。
ただし、休職するからと言って「部署中」に言いふらすことはありません。
逆に「あえて言わない」方がいいことがある場合もありますので、臨機応変にいきましょう。
最後に問題なのは、「休職を必要としない場合」ですが、この場合は以下のチェックリストを参考にしてください。
- 同じ部署に精神(メンタル)疾患の人がいることをあなたが知っているか
- 「残業をしない」「大勢の前でしゃべらない」などの勤務への配慮が必要か
- 以前に精神(メンタル)疾患の人に対して差別的な発言をする人がいたか
勤務への配慮が必要な場合は、「休職が必要な場合」を参考にしてください。
同じ部署に精神(メンタル)疾患の人がすでに存在して、その人がどう扱われているか、これは重要なポイントです。
その前例が良いものであれば自分もよく扱われる可能性が高く、その前例が目をそらすようなものであれば自分は隠し通すという選択をした方が良さそうです。
ここについては、「仲が良いと自分で思っている同僚」にもカミングアウトはしないでください。
「差別は伝播します」
誰かが差別感情を持っていた場合、同僚も毒される可能性があり、その場合知らないところであなたの病気が「伝言方式」で思わぬ話になって広がる可能性があるからです。
まとめ
今回のおすすめの本はこちら。LGBTの方の本ですが、カミングアウトについて言及されている箇所があります。
悩むことがある方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。
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