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アルツハイマー型認知症と嗅覚とアロマテラピー

 

認知症の50〜70%はアルツハイマー型認知症

 
認知症の人たちの中で、50〜70%がアルツハイマー型認知症だと言われています。
 
ただし、認知症の診断というのは「確定診断」しようとすると、
「死んだあとに脳を解剖してその細胞を検査する。
しかないので、現実的には表に出てくる症状や、画像検査で診断されています。
(実際はここまでアルツハイマー型認知症ばかりというわけではないと推測しますが、それは横に置いておくことにします。) 
 

認知症の初期症状として「嗅覚が落ちる」

認知症の症状として、「嗅覚が落ちる」というのがあります。

 
この論文では、
「記憶障害を主訴としてきた認知症患者において、嗅覚を測ってみたら認知機能と相関した」
ということが言われています。
 

認知症が目に見えて始まる前から、脳の変化は始まっている

 
これは医学的には広くしられていることなのですが、
 

アルツハイマー病というのは、認知機能低下が見られ始める10年以上前に、脳の中では「アミロイドβ蛋白」「タウ蛋白」がたまり始めています。
これがアルツハイマー型認知症が始まりです。

 
実は、症状で気付くずっとずっと前から、認知症は始まっているのです。
 

嗅覚が落ちる前に、嗅覚を刺激すると?

 
残念ながら、嗅覚が落ちることを予防することは、できなさそうです。
しかし、いろいろな論文を見つけることができました。
  

アロマテラピーが認知症を左右する

 
これは、2020年2月に発表された日本の論文なのですが、
「スギの香りがアルツハイマー型認知症の周辺症状(BPSD)を改善して、介護負担を減らす」
という論文です。
 
また、

  • 認知症の患者の攻撃性に対してアロマセラピーが効果がある
  • 認知機能の低下には役に立たないが睡眠を改善する

といったことを書いてある論文も散見されますね。
 

高齢者のうつ病に、アロマが効く?

 
これは、中国の論文なのですが、 
「高齢者のうつ症状にアロマテラピーが効果がある」
と書いてあるものもありました。
 

嗅覚の維持と、歩行速度が大事!

 
アルツハイマー型認知症において、嗅覚が落ちるというのは先ほど書いた通りです。
 
「歩行速度と嗅覚障害を調べることで高齢者の予後が測定可能」
という論文もあります。
 

ずっと家にいても、嗅覚を刺激することはできる

 

自宅でできる、アロマセラピー

家に認知症の家族がいるけど、デイサービスが閉まってしまった。
ずっと家にいるようになったら手がかかるようになった。

 
そんな時こそ、アロマテラピーの出番かもしれません。
 
やはり、秋田大学の研究にならって、杉の香りがおすすめです。

なかなか杉のアロマオイルは少ないので、通販がいいと思います♪

天気の良い日は外を散歩するのも良し

 
今、自粛と騒がれ、必要以上に外出しないことを求められていますが、
「完全な在宅要請」でない地域の方は、散歩がおすすめ。
 
あまり人気のない公園や河原など、風が当たる刺激の多いところが良いでしょう。
 

認知症の「予防」「進行の抑制」には刺激が必要

 
「人と話す」「外の空気に触れる(庭でも構いません)」は基本ですが。
刺激というのは五感全部を使うものなので。

 

  • アロマセラピーで嗅覚を刺激する
  • 美味しいものを食べて味覚を刺激する
  • 身体を拭いてあげるなど触覚を刺激する

いろいろな刺激がありますね!
 

まとめ

 

まとめ

アルツハイマー型認知症の初期症状として嗅覚が落ちる
アロマセラピーが認知症の問題行動を和らげる可能性がある
とにかく「五感を刺激する」ことが認知症の予防と進行抑制に効果あり

 

March 27, 2020 - posted by みずき@精神科医

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