「出産・育児」の時期に精神科受診を考える目安
育児ノイローゼで精神科受診って必要?
昨日、「育児ノイローゼ」の間接的な解決の仕方を少しお話しさせていただきました。
では、どんな状態になったら病院に行くことを考えたらいいのでしょう?
ひとことで「育児ノイローゼ」といっても、実はさまざまな病気・症状があります。
ホルモンのバランスが急激に変化する
「母乳が出る」とか、「お腹の中で赤ちゃんを育てる」とか、
「妊娠・出産・育児」の時期は、ホルモンのバランスがその都度変化して身体も変化していきます。
普段の月経周期でも常にホルモンは変化していますが、妊娠をきっかけに大きく変化します。
- 妊娠することで、月経(生理)が止まる。
→当たり前のことで考えたことがないかもしれませんが、毎月くる生理は赤ちゃんを受け入れる準備です。赤ちゃんができたら、一度生理はとまります。 - お腹の中で徐々に赤ちゃんが育ちます。
→赤ちゃんはお母さんが食べたものや身体の中で作ったものが栄養となっていきます。赤ちゃんに栄養を送るための身体の変化もあります。 - 出産に合わせて母乳が出るようになる。
→普段から母乳が出続けている人はいません。母乳が出るのは、赤ちゃんを産むための変化のひとつです。 - 出産する。
→赤ちゃんはいっぺんに外に出ます(どんな方法であれ)。
そうすると、身体は赤ちゃんを育てるために母乳を出し、子宮は赤ちゃんの居なかったときの状態に戻ろうとします。 - 月経(生理)が再開する。
→赤ちゃんを産んでしばらくしたら、次の赤ちゃんを受け入れるための準備を体が始めます。この時期は人それぞれです。
「誰でも」精神的不調が起きる時期
どうでしょうか。これだけの急激な変化が10ヶ月程度の時間で起こるわけです。
これだけの変化は、誰にとってもストレスです。
「この時期の精神的不調」は「誰でも起こる可能性がある」のです。
どういう症状が出たら、精神科の受診を考えるか
では、「どういう症状」が出たら、病院に行った方がいいのでしょうか。
「幻覚」や「妄想」がある場合
本当は「育児ノイローゼ」とは違うのですが、「産褥期精神病(さんじょくきせいしんびょう)」という病気があります。
- そこに居ないはずの人の声が聞こえる(赤ちゃんが泣いてないのに泣いている気がしてしまう、ではなく、ありえない声が聞こえる)
- 赤ちゃんの目が自分を睨みつけているように思える
- 周囲のみんなが自分を責めているような気がする
こんな症状が出たら、「即」精神科に受診予約を取りましょう。
この病気の場合は「できるだけ早く」診てくれる病院が良いです。
「死にたい」「消えたい」気持ちが大きくなってくる場合
「赤ちゃんがいる」という新しい環境に、ホルモンが大きく変化する中、慣れなければならない。
それは誰にとってもストレスで「しんどくなる」可能性がある、ということは先ほどお伝えした通りです。
では「うつ状態」で「治療が必要」となるのは、どんな場合でしょうか。
- 「死にたい」「消えたい」という気持ちが大きくなっている場合
→ぼんやり「死」について考えているより、「具体的な手段を検索」している方がリスクが高いです - 何をしても泣けてきて、育児環境を楽にしたにも関わらず気持ちが楽にならない場合
→前回お伝えしたような、「他者の協力」を得て育児の負担を減らしても、「全く気持ちが楽にならない」となると、少し厄介です - 「赤ちゃんの世話」がなくても「眠り」に問題がある場合
→寝つきが悪い、途中で目が覚める、寝た気がしなくて疲れが溜まっていく、などです。
睡眠というのは人間にとって非常に重要です。
どんなに普段前向きな人でも、睡眠の質が悪くなり疲れてくると、悲観的になったりします。
どんないきさつでも「自分を傷つける」「他人を傷つける」は即受診!
どんな理由や経緯があったとしても。
- 自分を傷つけようとしている
- 他人を傷つけようとしている
夜間休日精神科救急医療機関案内窓口
夜間や休日はこういった案内窓口(概ね全ての都道府県、電話番号が書いてあります)
大変なのは自分だけでないと知る
育児というのは非常に「孤独」を感じる要素が多いと思います。
核家族化して、さらにその「孤独」は増えたことでしょう。
「育児 ノイローゼ」で検索するとたくさんの本が出てきます。
育児でストレスを感じているのは「自分だけではない」と思うことも大切です。
私が読んだことがあって、育児時期に欲しかったなーと思ったのは、この本。
嫌なことを言ってくる人とは距離を取る
とか。
とか。
どうかそんなことを言ってくる人からは逃げてください。
あなたが必要以上に追い詰められる必要はありません。
まとめ
それでは、今回の記事のまとめといきましょう。
おまけ
ただし、この産褥期精神病、産後うつ病、どちらもその後の精神疾患のリスク因子です。
というか、もともと「精神科の病気になり安い人」が妊娠出産をきっかけに発症する、と言われています。