発達障害を持つ女医がこころの病気と健康について語る。
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精神科医がおすすめする図書「5冊」〜世代別

 

学校の休校措置が延長しています

新型コロナウイルス対策としての休校措置が、東京・大阪を中心として延長しています。
在宅ワークにもできなければ、子どもの学校は始まらない、と頭を抱えている人も多いでしょう。
そんなときに、楽しく読める本をおすすめしたいと思います。

小学生向けのおすすめ図書5選

まあ、小学生というのは「全く本を読まない子」から「大人顔負けの本を読む子」までたくさんだと思います。
ですから、大人顔負けの本を読む子は「中学・高校生用」のコーナーを参照してください。

ではまず1番。
灰谷健次郎「兎の眼」


この本は、私が小学校3年生の時に、何度も何度も、繰り返し読んだ本です。
今の何もかも「ある」状況の子どもたちには想像もつかない、貧しかったころの話。
今も変わらない魅力があるので、おすすめです。

2番。
壺井栄の「二十四の瞳」


これは、ドラマになったり映画になったりしたこともあるので、
映像をAmazon Primeとかで見てからでもいいかもしれないですね。
香川県にある小豆島を舞台に、学校の先生と子どもたち、
彼らを振り回していく「戦争の影」がうまく表現されています。
これも、繰り返し繰り返し読んだ本のひとつです。

3番。
ルイザ・メイ・オルコットの「若草物語」


私が子どものころには「世界名作劇場」というアニメ枠でアニメがやっておりまして、そこから元の書籍に辿って読んだ本の1つです。
シリーズ物ですがこの1冊だけでも読む価値はありますし、特に女の子におすすめ。
ここで出てくる戦争は「南北戦争」になります。
多感な思春期の女の子がたくさん出てきて、自分はどの子と重なって見えるか、ということで自分に似ている子を探すのも楽しいかもしれません。

4番目。
トーベ・ヤンソン著の「たのしいムーミン一家」


ムーミンもシリーズ物ですが1話完結型なので大丈夫かな、と思います。
これも私が子どものころはアニメをやっていたんですよね。
ただ、アニメと小説はストーリーなど全く違うので、本から入っても大丈夫。
ドラえもん顔負けの冒険をしてくれます。

5番目。
最後は少し勉強っぽく。「白川静文学に学ぶ漢字のなりたちブック」


もう中学年のお子さんだとしても、1巻から読んで楽しめるんじゃないですかね。
漢字の作りって、ひとつひとつちゃんと「意味」がある。
この「意味」を覚えると新しい漢字を見たときに「予測」がつくようになる。
子どものために買った本ですが、私が子どものときに欲しかった本です。

中学・高校生向けのおすすめ図書5選

これからは中学・高校生に向けての本。だいぶ主観が混じりますが、ご勘弁を。

1番。
司馬遼太郎「燃えよ剣」


日本史好きの私がさらに日本史、しかも幕末にハマっていった原点の本。
上下巻ですが多分途中で止めるのは無理だと思う。
司馬遼太郎先生の本はこれ以外も、小説・エッセイ含めて全部おすすめ

2番。
渡辺淳一「花埋み」


これは、根強く男女の不均等が続いている現代日本の女子は読んで欲しいなあ。
あとは医療系に行きたいと思っている子。
明治時代に最初に女医さんになった人の話。
私も、医学部を目指し始めて最初に読みました。

3番。
大内美予子「沖田総司」


これも幕末からの流れなのですが、「新人物往来社」から出ている本。
この出版社の日本史の本は割とオタク向けで気合入っている本が多いので、おすすめ。
そしてこれは、女性が書いた女性目線で「少しときめく」沖田総司の本。

4番。
J.R.R. トールキン「指輪物語」


言わずと知れた「ロード・オブ・ザ・リング」の小説です。小説の方がストーリーの深みを感じられて、キャラクターのイメージも映画は忠実ですが、それよりも魅力があると思っています。

5番目。
河合隼雄「こころの処方箋」


自分ではなかなか言葉にできなかった「なにか」を言葉にしてくれている、そんな本。
心理学者の先生の本ですが、この本は非常にやさしい言葉で高校生でも読める本になっています。

大学生以上向けのおすすめ図書5選

大学生以上としていますが、難しい本に取り組んでいる人はもっと早くでも構わないですが、少し性的な内容の本も一部にはらんでいますので、ご了承ください。

1番。
村上春樹「ノルウェーの森」


いつノーベル賞をとってもおかしくない、村上春樹の一冊。
名前くらいはご存知の方が多いのではないでしょうか。
精神疾患を病むヒロインと、それを追い続ける主人公。
いろいろな人が錯綜し、ストレートな生き方だけでは生きていけないこともわかる。
やはりこの本の醍醐味は大人になってからがいいと思っています。

2番。
渡辺淳一「無影燈」


無影灯というのは、手術室の上にあるライトのことです。
影を作らないことからそう言われています。
ただこれは、医療の物語というよりは、「人」や「愛」の物語。
中居正広さんがドラマ化していたことでも一時期有名になりました。
こんな愛の形もあるんだ、とハッとさせられる本です。

3番。
黒田龍之助「外国語の水曜日」


この黒田先生というのはロシア語やウクライナ語に精通している方で、
お父様は落語家、妻は東京外国語大学のチェコ語の教授、本人はフリー、という変わった方です。
英語の教師をしていた時期もあり、どういう外国語の学び方ができるのか、
なんなら教科書のやり方だけではないのだと教えてくれます。
学習障害で英語がちっともできない私が、希望を見出した本。この著者の本は全ておすすめ。

4番。
トルストイ「アンナ・カレーニナ」


トルストイといえば「戦争と平和」かもしれませんが、私はこちらをおすすめします。
最近では映画にもなり、アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しています。映画はとても耽美な印象でした。
悲劇ですし、なんならロシア人の名前は覚えにくいですが、読み応えのある本。
これはだいぶ上級者向けかもしれません。3冊もあるし。
私にとっては「人の儚さ」を感じられる本。

5番。
細川貂々、水島広子「それでいい。」


これは気楽に寝転んで読めちゃうマンガの本。
今、どんどん「ネガティブ思考」に陥っている人がいると思うのですが、
そんな自分を許せるようになる本。救われる人は多いと思います。

せっかく「時間」があるなら、有効活用!

先が見えない中で自宅にこもっているのは非常に苦しいと思います。
でも、「苦しい!!」ばかりでは、何も解決しません。
今の困難は「自力」で解決できませんので、気を紛らわせましょう。

ポイント

今の状態が、死ぬまで続くわけではありません。
この時期に学習したことは絶対にそのあとで役に立ちます。
今は勉強して「蓄える」時期です。

 
読むのは苦手!という方は、現在AmazonのAudibleが2ヶ月無料です。
ご紹介させていただいた本もいくつかありますので、是非試してみてください。


April 06, 2020 - posted by みずき@精神科医

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