発達障害を持つ女医がこころの病気と健康について語る。
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民俗学と憑き物への飽くなき探究心

 

あなたの目に映らないものを、あなたは信じられますか?

今日の話はちょっとオカルトになります。好きじゃない方は「戻る」ボタンを押してください。

きっかけは、ふとした会話でした

 
 

「ねえねえ、先生は幽霊って信じる?」

何気ない医局での日常のひと会話。

私は、見えないはずのものが見えたりしたことはないけど。
医者として働いていて「目に見えない何かっているのかな」と思ったことはある。

ただ、その時に同僚と至った結論は

目に見えないものはいるのかもしれないし、いないのかもしれない
30年以上見えたことがないので、今後もきっと見えない
だから自分には「無縁」なもの。

 

「私は見えない」けれど

ただ、病院で働いていると、「見える」という人に出会うことはある。

とある看護師さん。

「最近、亡くなる人が増えているけど、黒い影が病棟から消えない」
「だからまだ亡くなる人は出ると思う」

ほう。

そして、他の同僚の先生が言っていたこと。

「医者として信じないって言いたいところだけど、
医学部受験の時に母親が憑き物が憑いたみたいな状態になったことがあるからなあ」

ほほう。

「憑き物」って、狐が憑いたとか、俗にいうアレですよね??

 

「憑き物」について、調べてみた

「憑き物」というのは、精神科には無縁でない気がする。
そう思って、調査開始。

 

まず見つけて読んでみたのはとある論文

滋賀県湖東一村における狐憑きの生成と変容 : 憑依表現の社会 宗教的,臨床的文脈

これを書いた江口重幸先生は、この論文を書いた当時は滋賀県で働いていたらしい。
国立民族学博物館の論文だけど、この先生は精神科医だ。

調べて見ると、現在は東京武蔵野病院で働いているとか。

精神科医で、「憑き物の研究」をしている人が、いるのだ!

 
しかし、この先生以外で精神科医が憑き物を真面目にやっている気配がない。
 

憑き物について調べていくと、民俗学にたどり着く

そんなわけで、方向性を変えて見る。憑き物についてだけ、検索してみる。
そこで分かったことを、以下にまとめると。

  1. 「何が」憑くのかって、どうも地方によって呼び方が違う
  2. 私は怖がりで好きにはなれなかったけど、「遠野物語」とか「雨月物語」もその辺かも
  3. 憑き物が憑くのって、海辺の開けた町じゃなくて、山奥のあんまり交通の便が良くないところ
  4. 憑き物は民俗学のテリトリーっぽい

そしていくつか、本を購入。
 



これは、民俗学の中心的だった人が、各地の報告をまとめたもの。
近代の文章なので字面とか少し読みにくい。割と時間がかかった。
 
でも、この本を読んだことで、
 

  • 地方によって「何が」憑くのかは変わるけど、ひとつひとつの症例は似通っているとか。
  • なんで四国には狐憑きがいなくて犬神憑きなのか、とか。
  • 医師でない人が「憑き物」をどういう視点で見るか、とか。

 
分かって面白い本ではあった。
 
 

同時期に、流行した本があった

同時期に、こんな本が巷で流行していました。



この本、流行に乗って買ってはみたんですが、まだ積読状態。
でも、Twitterなんかでみた評価は良さそうでした。
 
 

まとめ-探究心は続いている-

 
 
憑き物って、奥が深いですね。

実は、まだまだ勉強したいと思っているんですよね。
外国って憑き物ってあるのかな、とか。
魔女狩りって同じ理論だったのかな、とか。

それっていわゆる(関西方面で広く使われている)非定型精神病になるのかな、とか。

こういうことに思いを巡らせているとき、日本人で良かったなって思います。
 
 
みなさんにとって面白い本かどうかはわかりませんが、
本日紹介した本、再度並べておきます。