発達障害を持つ女医がこころの病気と健康について語る。
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コロナあけで学校に行けない!?過剰適応を考えよう!

 

コロナあけ、学校に行けない子供が増えています

    
わたしは、勤務先の病院で
『思春期外来』に携わっています。
    
今回はそこでの経験を交えて、
少しお話しさせていただけたらと思っています
       
         

当院への思春期外来の問い合わせがひっきりなし

    
6月になって
全国的に学校が再開されてきました
    
    
6月の中旬ごろから
思春期外来への受診の問い合わせが
過去最高に多くなっています

     
     

コロナの自粛期間中の思春期外来は閑古鳥でした

    
コロナの自粛期間中はどうだったかというと
もともと「不登校」で通院中の子も
学校がないことで気持ちよく過ごせていて
初診の問い合わせはまさに閑古鳥がないている状態
でした

      
       

主な主訴はこんな感じ

     
現在、思春期外来の問合せにおける
受診を決めた「主訴」について書いてみます
(個人の特定ができないように内容に支障ない程度に改変あり)
    
    

・学校が始まって最初は良かったが
 途中から学校に行くことを渋るようになった
    
・学校に行こうとすると腹痛・頭痛を訴える
    
・昼夜逆転して朝起きられず
 学校に遅刻してしまう
    
・学校には行っているが
 ストレスが溜まっているのか自宅で暴言がある
     
・学校には行っているが
 過食・嘔吐が見られ始めた

    
    
どうでしょうか
普段からある主訴ではありますが
コロナ自粛後に倍増したぐらいの
体感があります

    
     

なぜ、今まで学校に行けていた子がいけなくなるのか?

     
この子たちに共通していることがあります
     
     

コロナ自粛の前は普通に学校に行けていた

     
ということです
     
     
ではなぜ
自粛前は普通に行けていた学校に
自粛あけに行けなくなるのでしょうか

     
     

「いい子」だったはずの子が、学校に行けないパターンが多い

     

ここで注意してほしいことは
彼らは学校に行けていたときには
優等生・いい子であった子たちなのです
     
それが突然
コロナの自粛のあとで
学校に行けなくなってしまったのです

    
     
彼らは学校で問題児だったわけではありません
もともと休みがちだったということもありません
     
     
でも、このパターンで
学校に行けなくなっている子が多いのです
    
    

過剰適応(かじょうてきおう)という言葉を知っていますか?

    
みなさんは
「過剰適応」
という言葉を、ご存知でしょうか
    
今回の話に深く関わる過剰適応について
一度説明をさせていただきます
    
     

過剰適応とは–大まかな定義–

     

過剰適応とは
周りの人々に「あわせすぎて」しまうことです
    
環境に適応することは生きていく上で重要です
    
ただそれを「しすぎてしまう」ことをいいます
     
親が強権的だったり
いじめられっ子だったりすると
過剰適応して身を守ることがあります
    
一度過剰適応するとクセになってしまい
その後も過剰適応し続けてしまいます
     
自分では何とも思っていなくても
疲れは確実に心に溜まっていきます

過剰適応の子は、学校での評価はピカイチ

     

過剰適応の子は
学校や習い事での評価はピカイチです
    
「生徒の鑑」
と言われている子もいます

    
     

過剰適応をしていると、心に疲れはたまっていく

     
ほんの少しの適応は
誰しもが日常生活でやっていることです
    
    
しかし、過剰適応となると
自分の心の声を聞かずに
周りに合わせている子が多く
そうすると少しずつ
心に疲れが溜まっていきます

      
      

コロナ自粛のあと、過剰適応の子が学校に行けなくなる理由

      
ではそんな過剰適応の子たち
なぜ学校に行けなくなったのでしょうか

    
    

今まで頑張りすぎて疲れていることに、気づいてしまった

     

・今まで頑張っていたことに気付いてしまった
 →学校がないと「楽」だったので「学校しんどい」となった
    
・自宅で過剰適応をしていて疲れてしまった
 →過剰適応をするのは、学校だけに限りません
  自宅で過剰適応をして、疲弊しまったかもしれません

    
    
どちらの理由も、あり得ると思います。
    
    

学校・自宅でもう「演じ」られなくなってしまった

    

一度疲れに気づいたら
演じていることに気付いたら
「だからしんどかったのかな」
と頭の中で理解しなくても
身体と心が理解してしまいます

    
    
だからもう頑張れない
    
    
そんな結論に至っているケースが多いです

まずは休んで、過剰適応をゆっくりなおしていこう

      

この場合必要なのは
まずは休むことです


    
    
過剰適応をし続けるのは
非常に負担が大きくいつか破綻します
    
休んでいる間に
過剰適応の状態から
脱する必要があります

    
    

親としてできること

     
過剰適応だとわかって
親としてできることは何でしょうか

    
    

過剰適応になりやすい子は、環境に問題がある

     
過剰適応になる子には
学校や家での環境に
問題があることが多いです

    
たとえば
    

・夫婦仲が悪い
・学校でいじめられている
・学校でクラスの子に実は馴染めない
・自分の気持ちを表現するのが下手

    
    
どうでしょうか?
我が子に当てはまるところ
ありましたか?

     
     

家がきちんと安全基地になることも大事

     
夫婦仲が悪いご家庭もあるでしょうが
    
    
「自宅では子どもが子どもらしく過ごせる」
そんな環境を作ってほしいのです
    
     
夫婦仲を改善しようとはしなくても構いません
    
    

ですが
喧嘩するところを見せたり
子どもに仲裁されたり
そういうことはつつしんでください

    
    

家族で限界がある場合は助けを求めよう

    
家庭環境などすぐに変えられない場合
外に助けを求めましょう
    
    

精神科の受診に行く とか
    
保健センターに相談する とか
    
児童相談所に相談する とか
    
子育て支援課に相談する とか

    
できることは
たくさんあります
    
    

大人になってから、自分の過剰適応に気づいたら

     
ではもし
この記事を読んで
「自分、過剰適応かな」と思った方がいたら
    
    
今から少しずつ
過剰適応な行動を
減らしていってほしいなと思います

    
    

まずは自分の気持ちを言葉にできるようになろう

    

過剰適応の人は
自分の気持ちより相手の気持ちを優先するので
自分の心の言葉を聞くのが上手ではありません

    
    
まず自分の心に
耳を傾けてください

    
    
ノートに書き出しても構いません
    
    

言葉にできたら、安心できる人に伝えてみよう

     

もし自分の心の声が聞こえてきたら
次にそれを安心できる誰かに伝えてみましょう
     
きっとその人は
あなたの気持ちを聞けたことを喜んでくれるはず

      
      
あとはその繰り返しです
     
     
一朝一夕ではよくなりませんが
少しずつよくなっていくようにしましょう
    
    
下記の本もおすすめです
    


    
     

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早い段階で
過剰適応に気づき
自分を抑圧しすぎず
適度にガス抜きできることが

     
自分が壊れてしまわないための秘訣です

まとめ

     

まとめ

・コロナあけで学校に行けない子が増えています
     
・その一因に過剰適応があります
     
・自分を押し殺して相手に合わせてしまうのが過剰適応
     
・自分が「無理」をしている状態なので
 その状態はいつか破綻します
     
・まずは自分の心の声を聞くところから
 少しずつ過剰適応をなくしていきましょう